左からヴィレッジバンガード、ブルーノート、デジィーズコカコーラ、スモーク 今回はTRAVELWITHOUTMOVING番外編のTRAVELWITHMOVINGと称してニューヨークの旅で出会った作品や面白い場所について御託を並べさせていただく。しかしニューヨークは日本に負けずというか同じかそれ以上に暑かった。早朝から夜遅くまで街を歩き回っていた僕としてはまさに地獄のよう。じゃあ歩かなきゃいいじゃんって?それは甘い。旅の醍醐味は街の雰囲気を味わうことにあり。そのためには一に散歩、二に散歩、三四がなくて五に散歩。ウォーク、ウォーク、ウオォーク(笑)。ニューヨークにはいろんな人種・民族がいたりいろんな建物がある。人間観察や建物鑑賞にはもってこいの場。しかも思ったより治安もいい。実はニューヨーク到着当日、ホテルが見つからず電話もつながらず深夜のダウンタウンをさまよい、挙句地下鉄乗りながら一晩を過ごすはめになった。その地下鉄の中ではmenとfuckingを連発して連れとあつく駄弁る黒人や僕に言葉にならない言葉で話しかけようとしていた太っちょの黒人の女の子、その子を口説いていたパルプフィクションのボスばりにセクシーな声をした黒人男性と面白い人間観察ができた。黒人とヒスパニック系の人が多かったがその中に白人もいたのが意外だった。後日夜10時か11時くらいに普通の白人のおばちゃんも乗っているのをみると地下鉄事情はだいぶ変わってきたのかもしれない。それでも深夜のダウンタウンや地下鉄にかなりの危険を感じた。深夜のチャイナタウンで「Hey,man.what's going on? this is downtown.ヒヤッヒヤッヒヤッ」と声かけられたときは泣きそうになった(笑)。でも街に警察車両がたくさんあったこともあり一晩無事に過ごすことができた。昔だったらよくてカツアゲ、最悪殺されていただろう。もっともそれで調子に乗ってしまって後日早朝に駅付近をうろついていた時にバスケのユニホームを着た黒人に追い回されたときはかなりの冷や汗ものだったが(笑)。 前置はそれぐらいにしてそろそろ本題に入ろう。今回の旅で僕は4つの有名なジャズクラブを回った。
まずはヴィレッジバンガード。あの雑貨と書籍の店ではないことをあらかじめ断っておく(笑)。1935年開店。1957年、ソニーロリンズがこの店で「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」を発表して以来、僕の好きなビルエバンス等様々な有名なジャズアーティストがライブ録音を残す名門クラブ。グリニッジビレッジにある。地下鉄だと1番線のクリストファーストリートシェリダンスクエア駅を降りて北に4,5分ほど歩いたところにある。出演アーティストはバッドプラスというジャズバンド。ジャズに詳しい人は知っているかもしれないが自分はいままで聞いたこともない。料金は税金込みで29ドル。日本円で2900〜3000円といったところ。特に華があるというわけでもないけど堅実かつ熱い演奏がよかった。このクラブは今回紹介する4つの中で一番好きかもしれない。名門クラブにもかかわらずいい意味で気取っていない感じがいい。客層を見ても音楽好きの若者やおっさんがメインで仕事終わりに気軽に立ち寄る感じ。接客してくれたお姉さんも拙い英語しかしゃべることのできないアジア系の僕にも丁寧かつ優しく接客してくれグッド。またニューヨークに行く機会があれば寄ってみたいクラブだ。
次にブルーノート。東京と名古屋にもある有名クラブ。ジャズを知らない人でもこの名前は知っているのではないか。内装は日本のそれと同じようにテーブルフロアと値段がお手頃なバーフロアに分かれ、比較的席の数も多く広い印象を受けた。そして上の写真を見てくれ。歌っているミュージシャンに見覚えはないか?いつもTRAVELWITHOUTMOVINGを読んでいるお方ならご存知だろう。そう、第一回目で紹介したセウジョルジ。ミュージックチャージは税金込みで83ドル。高すぎる。でも客はほぼ満杯だった、しかも平日にもかかわらず。それは彼はウェスアンダーソンの映画に出演しハリウッドデビューを飾っているしブラジルでは福山雅治ばりに色気のある俳優兼シンガーソングライターとして絶大な人気があることをかんがえると納得できる。でもこの顔でトップレベルのセクシー俳優の地位を得ているとは。やはり色男の定義は国によって変わってしまうということか。彼のライブパフォーマンスはいい意味で予想通りだった。生で都会の花聴けてよかった。ただ彼がデビッドボウイのRebelRebelを聴いた時は少し意外な気分になった。この曲は1974年に出たボウイのジギースターダスト名義最後のシングルで内容は性同一障害といったシリアスな内容のもの。その曲をセウジョルジがカバーし、それは上記のウェスアンダーソン監督の「ライフ・アクアティック」の映画音楽アルバムに収録されている。なんというか同じ曲なのにボウイとセウジョルジとでは全く曲のイメージが変わってしまう。ある意味カバーのお手本といってもいいと思う。セウジョルジのRebelRebelは全く悲壮感やヒロイズムが感じられずお洒落なカフェミュージックになってしまっている。それも彼の親しみあるキャラクターゆえだろう。あと当然彼はブラジル人だから客もラテン系の人が多かったがとにかく彼らのノリがいい。勝手に踊りだすわ、なぜかアンコールのセリフが見事に一致するわ、セウジョルジに頻繁に話しかけるわ。しかもその踊りが我流なのにキマッているところがニクい。姉ちゃんも色黒で目鼻立ちがくっきりした美人が多くなによりスタイルが抜群。タイトなドレスも見事にきまっている。彼らには世間体とかダンスのステップやリズムとりが正しいかどうかなんて関係ない。ただばっちりキメて踊りたいから踊る。そんな感じだろう。彼らラテン系、特にブラジル人は世界で一番幸せな民族だ。本当に羨ましい。