A MOVINGPHOTOGRAPH 第1回 ロバートフランク 「ジ・アメリカンズ」

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この写真集は世界中の写真家の神様的存在であるロバートフランクの代表作。この写真集が「作品」と思えるようになったのは数年前にマレーシアに初めての海外の一人旅をした後だった。なぜそう思えたのか分からなかった。でもこの前ニューヨークに一人旅した際、最近自分のホームページを作ったということで写真を乗せるためデジカメを持っていき,ニューヨークの街の模様等を撮り、今その写真眺めているとそのわけが分かった。

この写真集を買ったのはかなり昔。おそらく理由も下らないことだったように思う。アート写真を買う俺かっこいいみたいな(笑)。でも初めて一人旅した後にこの写真を見ると不思議と懐かしいというかそんな気がした。そして今回ニューヨークを旅した後に再度この写真を見たとき、これは「ニューヨークで見た人たち」であることが分かった。正確にはこの写真がニューヨークで見た人たちを想起させるものだということだ。

でもニューヨークで僕が撮った写真を見ても何も感じない。これはどういうことなのだろうか。それはこのジ・アメリカンズはアメリカ人という枠を超えた人間のありのままの姿を映し出しているからだと思う。うまく表現できないけど写真の中に人が息づいているといえばいいのか。昔雑誌でアラーキーが写真家に必要なことは例えばカメラを持って散歩する時に写真を撮ろうとしないことだみたいなことを言っていた。多分「写真を撮ろう」とすると無意識のうちにそこに変な自意識が介在して被写体の持つ空気感をとらえることが出来なくなるからだろう。でも写真撮らないことには写真が手に入らないし…奥が深すぎて分からん。

そして一人旅をした後にそう感じたのは現地語をしゃべれる友人やガイドがいない中、へたくそな英語やゼスチャーで会話をする中で無意識のうちにその異国の人、もっと言えば「被写体」といろんな次元で会話できたからだと思う。その時その時の空気感をこの写真集は見事に表現できているのだ。ちなみにこの言葉によらない会話の感覚をどう表現すればいいかわからないので申し訳ないがここで説明することができない。おそらく旅慣れた人やバックパッカーの人であれば分かるものだと思う。もしこの文章を読んでいる人で英語が喋ることができないとか下手だから一人旅できないという人がいるなら見切り発車でいいから一人旅すればいいと思う。そうすれば分かると思う。そしてその感覚を味わうことはあなたの人生を豊かにする一助になると思う。

写真ってだれでも撮ることができるから写真家なんて大したことないんじゃないかと思った時期もあったけどすごい人たちなんだなあ。それともロバートフランクがすごいのであって他のほとんどの写真家は大したことないのか。それを次回以降検証していきたい。


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