A MOVING LIVE第1回アントニオロウレイロ in 姫路ハンモックカフェ

第1回目はアントニオロウレイロ。

前に紹介したアレシャンドリアンドレスの作品にも参加していたミナス音楽シーンの最重要アーティスト。

まずライブ会場となった姫路ハンモックカフェについて。山陽本線的形駅降りて1キロ南下した海に近い場所にあり、交通の便は悪い。でもあえてそういう場所にある知る人ぞ知る隠れ家的な店というスタンスでいきたかったのかもしれない。

店自体についてはパッと見た感じではいいカフェだと思う。倉庫の外観が回りの海付近の街の雰囲気にマッチしている。なのに中は外とは一転、壁やピアノやバーカウンターも木作りのオーガニックな感じで統一感があっていい。ビールしか飲んでないんでなんとも言えないけどメニューを見た感じ料理や飲み物も産地や味にこだわりがありそうだし、実際好評を博しているらしい。そして何よりカルロスアギーレやアルゼンチン音響派等のアルゼンチンの新潮流やミナスシーンを中心にCDを販売したりそのシーンのアーティストを今回みたいに呼んだりとプッシュするあたりかなりのセンスを感じる。接客のスタンスに賛否があるみたいだがそれは店のポリシーやこだわりゆえ。だからこそこういったセンスのいいアーティスト達をプッシュする発想も出てくるのだと思う。でもあえて苦言を呈するならば自然との共生にこだわるのもいいけどこんな殺人的な夏にクーラー効かせないのは人間の健康に悪いっすよ。ロウレイロさんもライブの最後のあたりすごい暑がってたじゃないすか。

次にライブについて。東京だと多少事情が違うと思うがこんなすごいアーティストが来日するというのにライブ会場が50〜60人しか入れない場所になってしまうあたり多くの日本人は本当の意味で音楽を聴く事に関心がないことが分かる。自分がどの音楽が好きかというより、どの音楽を聴けば話題についていけるのかということに関心があるというか。そのこと自体否定はしないけどそんな生き方してて楽しいのかねえ。そんなことしないと続かない関係ならばいっそのこと捨てちまうか陰口恐れず距離を置けばいいのに。

今回のライブ鑑賞にあたって先入観を排していいレポートをみんなに届けるために僕はCDを聴かないでライブ鑑賞した。以下ライブで彼の音楽性や演奏について僕の感じた印象を中心に論じることにする。

まず客の印象としては会話している内容を聴く限り、一通り洋楽やエレクトリックミュージックを通過した音楽通や世界中を回って仕事している音楽好きがかなりいる印象を受けた。なんか音楽好きが自然に店に寄り付きそのまま常連になってしまったというか。関西の音楽好きの最果ての場所といったところか(笑)。そんなにワールドミュージックに詳しくない僕なんかがいていいものか少し恐縮してしまった。
次にライブ内容について。今ロウレイロの新作のソウを聴きながらこのレポートを書いているのだが、ライブで感じた印象とCDで感じるそれとだいぶ違う印象を受けた。もちろんライブは彼のボーカルとピアノのみで音がプリミティブというのもあるけどライブの音の方がメロディーにアレシャンドリ・アンドレスのような有機的でジブリアニメの森を髣髴とさせる深みが感じられ、それがこのカフェの雰囲気とマッチしていて悪くなかった。ちなみにアレシャンドリはロウレイロの新作に参加している。ただCDを聴く感じでは彼の音楽のよさは坂本龍一のような都会的な質感のある音なのに奏でられるメロディーが有機的に聴こえるアンビバレントな革新性にあると思う。なので都会的な音の質感を醸しだすシンセ+ジャズバンド形式の方が逆説的にメロディーの奥ゆかしさをより引き出すことが出来たのではないかと思うのだがどうだろう。
また会場が狭いこともあり彼の息遣いやピアノと格闘するライブならではの臨場感が感じられてよかった。
あと入場時とライブ後の握手に気軽に笑顔で応じてくれ、感じのいい人だった。

また彼のライブを見る機会があったら行きたい。今度はバンド形式で見てみたいね。 TRAVELWITHOUTMOVING冒頭に戻る      姫路ハンモックカフェのホームページ inserted by FC2 system